2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症に関連する遺伝子CAPS2の有芯小胞分泌における役割の解明
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21700421
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
定方 哲史 独立行政法人理化学研究所, 分子神経形成研究チーム, 研究員 (90391961)
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Keywords | CAPS2 / CAPS1 / autism / trafficking / exocytosis |
Research Abstract |
CAPSタンパク質が有芯小胞分泌のどのステップに関与するかを詳細に検討した。その結果、以下のことが分かってきた。 (1)CAPSはPHドメインを介してGolgi体膜に結合する。(2)CAPSとPHドメインの結合性はC2ドメインによって制御されている。(3)CAPSはクラスII ARFタンパク質(ARF4,ARF5)のN末に結合する。(4)CAPSはGDP結合型のARFに結合する。(5)CAPSとARFの結合性はCa++濃度に依存する。(6)CAPSとARFの結合をブロックした場合、有芯小胞マーカータンパク質であるクロモグラニンはゴルジ体に集積する。(7)同様のクロモグラニン集積はCAPSおよびARFをノックダウンした場合にも起こる。(8)CAPSをノックアウトした場合、神経細胞のゴルジ体の形態が異常になる。 以上より、CAPSタンパク質が有芯小胞のトラフィッキングに関与するメカニズムが分かってきた。 以上の結果は、Journal of Biological Chemistry.285(49),p38710-38719(2010)にて報告した。 また、自閉症モデルマウスであるCAPS2 exon3スキップマウスの作製に成功した。このマウスの行動解析により、新奇環境への適応不全、社会性行動の異常、母性行動の低下、サーカディアンリズムの消失といった、自閉症様形質が明らかになった。さらにこのマウスの解剖学的解析により、BDNFやクロモグラニンのトラフィッキングの異常やGolgi体の形態異常が示された。電気生理学的解析においては、paired-pulse facilitationに異常が見られた。以上より、このマウスは自閉症モデルマウスとして有用であることが示された。
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Research Products
(6 results)