2010 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体神経回路におけるGABA作動性ニューロンの役割
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21700427
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三輪 秀樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (80468488)
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Keywords | 扁桃体 / GABA作動性ニューロン / 情動 / BACトランスジェニックマウス / パルブアルブミン |
Research Abstract |
扁桃体は、恐怖など情動の中枢であり、扁桃体でのGABAを介した神経伝達は、情動の発現と記憶、さらに不安障害など精神疾患の病因との強い関連性が考えられている。しかし、グルタミン酸作動性ニューロンと比較すると、GARA作動性ニューロンの形態、空間配置、シナプス結合様式、電気生理学的特性ははるかに多様であり、解析ツールの不足からその詳細な機能は不明な点が多い。本研究では、1.GABA作動性ニューロンを黄色蛍光タンパク質分子Venusで標識したVGAT-Venusトランスジェニックマウス(VGAT:小胞型GABAトランスポーター)を用いて、扁桃体GABA作動性ニューロンの組織学、形態学、分子生物学および生理学的特性を明らかにし、2.扁桃体への興奮性シナプス伝達および可塑性を制御する局所回路におけるGARA作動件ニューロンの役割を解明することで、「扁桃体GABA作動性ニューロンの研究基盤を形成する」ことを目標とする。 昨年度の結果をもとに、扁桃体GARA作動性ニューロンのサブクラスのうち、パルブアルブミン(PV)陽性ニューロンの扁桃体での役割を解明するために、PV-CreマウスとVGAT-floxマウスを掛け合わせることで、PV陽性GABA作動性ニューロン特異的にVGATが欠損する遺伝子改変マウスを作製した。その結果、コントロールマウス(VGAT flox/flox)と比較すると、ミュータントマウス(PV-Cre/+:VGAT flox/flox)は生後7日目から体重の減少が生じ、生後14日目に痙攣を呈し、死亡した。したがって、この遺伝子改変マウスでは成体期での扁桃体でのPV陽性のGABA作動性ニューロンの役割は明らかにできなかったので、今後別の手段を用いて、PV陽性GABA作動性ニューロンのみならず他のサブクラスのGABA作動性ニューロンの扁桃体での機能について解析する予定である。
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