2009 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚同時検出におけるフィードフォワード抑制機構の役割
Project/Area Number |
21700431
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 玲 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (70422970)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 同時検出 / 聴覚 / 音源定位 |
Research Abstract |
本研究では鳥類の脳幹に存在する聴覚中継核の一つである層状核(NL)神経細胞を対象に、重要な聴覚機能の一つである音源定位機構における同時検出精度にフィードフォワード抑制がどのように関わるのか、in vitro研究を中心に細胞レベルで明らかにすることを目的とする。音源定位機構におけるフィードフォワード抑制回路の存在は哺乳類においてよく知られているが、鳥類においては不明であった。このためにまず、これまで知られていない新たなフィードフォワード抑制回路の存在を明らかにする目的で、NL細胞からホールセル記録を行い、蝸牛神経核からの興奮性投射線維を電気刺激することで観察されるシナプス入力を解析した。この実験からEPSCに数ミリ秒遅れてIPSCが観察されることが分かった。このIPSCは薬理学的に興奮性シナプス伝達を阻害すると消失する多シナプス性の現象であり、さらにNLへの抑制の起源としてよく知られている上オリーブ核を切り取ったスライス標本でも観察されることからNL近傍に存在するGABA作動性の介在神経細胞によるものである。面白いことに上記のような現象は低い周波数領域の細胞でのみ観察された。さらにin situハイブリダイゼーション法を用いた解析から、介在神経細胞がNLの低い周波数領域の細胞の周辺に集中して存在することも明らかとなった。さらに現段階までに、電気生理学実験からこのIPSCの時間経過等の詳細な性質を明らかにしている。今後はこれらの結果をもとに主にコンピューターシミュレーションを活用することで、フィードフォワード抑制機構の役割をその周波数依存性も含めて検討し、哺乳類の同様の神経回路にも共通する機能的意義を明らかにする予定である。
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Research Products
(3 results)