2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700438
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
大塚 岳 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教 (10390692)
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Keywords | 大脳皮質 / 介在細胞 / FS細胞 / 錐体細胞 |
Research Abstract |
本研究は、脳の高次機能を担う大脳皮質の情報処理を理解するために、皮質回路を構成する細胞間のシナプス結合特異性を明らかにすることを目標としている。本年度は、5層の錐体細胞と抑制性介在細胞間のシナプス結合特異性についてスライスパッチ法を用いて検討した。5層介在細胞は、電流注入に応答する発火特性からFast-spiking(FS)細胞とnon-FS細胞に分類した。記録したnon-FS細胞の多くは、形態学的特徴からマルチノッチ細胞であった。5層錐体細胞は、同側の橋核と対側の前頭皮質に異なる逆行性トレーサを同時に注入し、蛍光ラベルすることによって、投射先による違いからサブタイプ分けした。蛍光ラベルされた錐体細胞サブタイプから介在細胞への入力様式をグルタミン酸刺激法を用い検討した。その結果、FS細胞は、多くの5層錐体細胞からシナプス入力を受けていた。また、投射先が異なる5層錐体細胞サブタイプから入力を同程度の確率で受けており、投射先で分類される錐体細胞サブタイプに依存しないことがわかった。5層錐体細胞とFS細胞からペア記録を行いシナプス結合パタンについて検討した結果、これらの細胞ペアでは両方向のシナプス結合パタンが多く見られた。しかし、non-FS細胞と錐体細胞間では両方向性の結合が見られなかった。以上の結果から、FS細胞は、投射先に依存した特定の興奮性サブネットワークを制御するのでは無く、異なる興奮性サブネットワーク間に跨って、錐体細胞の出力を制御していると考えられる。
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Research Products
(2 results)