2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス両側海馬の機能差のin vivo生理学による解析
Project/Area Number |
21700440
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
篠原 良章 独立行政法人理化学研究所, 平瀬研究ユニット, 基礎科学特別研究員 (10425423)
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Keywords | 脳の左右差 / 哺乳類 / 海馬 / 神経回路 / 解剖学 / 生理学 |
Research Abstract |
fMRIのように、イメージングの手法で脳機能に左右差があることを示している実験は数多くあるが、分子レベルから脳機能の左右差に迫る研究は数少ない。当該研究員はこれまで、マウスの海馬で、1,グルタミン酸受容体の分布に脳の左右で差があること、2,シナプスの大きさも左右で差があることを示してきた。そして、グルタミン酸受容体の分布量とシナプスの大きさには強い相関があり、シナプスの大きさと受容体の数との関係から、グルタミン酸受容体は3つに分類できることを示した(Shinohara et al.,Proceeding National Academy of Science.,2008)。今年度は、マウスに空間学習課題を課し、マウスでも海馬機能にはヒトと同様に左右差があることを示唆する論文を学術誌に報告している(Shinohara et al.,Hippocampus in press)。このように、当研究者はマウスの海馬にはさまざまな点から左右差があることを示してきたが、シナプス形態・受容体分子数の左右差から脳機能(空間認知能力)の左右差を理解するまでは遠い距離がある。当研究では、このギャップを埋めたいと考えている。 そこで現在、マウスやラットの両側の海馬に多点電極記録が可能なシリコンプローブを挿入して、in vivoの状態で脳波の測定を行っている。動物は意識・行動状態によってさまざまに異なる脳波活動を起こすが、マウスやラットで左右脳の脳波の違いを詳細に記述した報告はほとんどない。左右で脳波活動に差が出るのは動物がどのような状態にある場合であるかを解析中であり、動物が海馬依存タスクを行うと左右の脳波活動に差が生じることを発見した。
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