2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光タンパクセンサーを発現する遺伝子改変マウスを用いた匂い情報処理機構の解明
Project/Area Number |
21700441
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武藤 弘樹 独立行政法人理化学研究所, 神経回路ダイナミクス研究チーム, 研究員 (60443040)
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Keywords | 嗅脳 / 膜電位センサー / 脳機能光学測定 / 遺伝子改変マウス / in vivo / 匂いの記憶・学習 |
Research Abstract |
本研究は、蛍光タンパクセンサー(カルシウムセンサー:GCaMPまたは膜電位センサー:VSFP)を特定の神経細胞(僧帽細胞)に発現させた遺伝子改変マウスを用い、匂いの記憶・学習が嗅脳内でどのように情報処理されているのかを解明することにある。 昨年度、改良された膜電位センサーがknopfel研究室(理化学研究所BSI神経回路ダイナミクス研究チーム)と宮脇研究室(理化学研究所BSI細胞機能探索技術開発チーム)により新たに報告された。本研究に用いる遺伝子改変マウスを作成するにあたり、既存のセンサー(VSFP2.3)と改良されたセンサー(蛍光タンパク質を赤波長へシフトさせたセンサー)の機能比較を行ったところ、改良されたVSFPを用いた遺伝子発現マウスを作成することになった。特に、改良されたVSFPの蛍光タンパク質は波長を遠赤外光へとシフトさせることで、光学測定において常に問題となる組織から発せられる自家蛍光を克服することが可能である。さらに、VSFP2.3が心筋細胞に特異的に発現する遺伝子改変マウスを作成したところ、酵素処理により単離された心筋細胞でセンサーの作動が確認できた。このことより膜電位センサーが遺伝子改変マウスで問題なく機能鶴ことも確認された。 また、他研究室との共同研究によりカルシウムセンサー(GCaMP)を発現する遺伝子改変マウスが、匂い刺激を与えることで嗅脳表層に特有の匂い地図の観察が可能であることが確認できた。 現在、これらの蛍光タンパクセンサーが嗅脳に存在する僧帽細胞に特異的に発現する遺伝子改変マウスの作成に採りかかっている。来年度は、作成された遺伝子改変マウスの系統の確立、in vitroとin vivoでのセンサーの機能確認を行い、さらには匂いの記憶・学習が嗅脳内でどのように情報処理されているのか解明をすること目指す。
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