2010 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類を用いた非接触磁気計測手法に基づく心臓興奮・伝導異常病体の解明
Project/Area Number |
21700444
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
揚山 直英 独立行政法人 医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 研究員 (50399458)
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Keywords | 医療・福祉 / 循環器・高血圧 / 生理学 / トランスレーショナルリサーチ / 動物 / 心臓興奮・伝導異常 |
Research Abstract |
本研究では非侵襲的に心臓電気生理動態を検査する事が可能な非接触磁気計測手法をヒトに近縁な霊長類に適応し、新たな評価システムの構築や不整脈疾患モデルの樹立を試みる事により、心臓興奮・伝導異常のメカニズム解明へつなげる事を目指すものである。本年度は昨年度までに樹立した計測手法を用いて霊長類における心臓伝導異常病態の抽出および評価を目指し、下記の成果をあげた。 1)これまでに得られた評価基準を利用し、電気生理学的に特徴のある霊長類の抽出を試みた結果、左脚ブロック、WPW症候群、Burugada症候群、QT延長症候群などの先天性不整脈疾患の特徴を有する心磁図の描写に成功した。特に、QT延長症候群においてはT波時相における異常電流、WPW症候群では副伝導路の早期興奮をアローマップとしてイメージングする事が出来、本手法が詳細な電気生理学的変化を描写可能である事を明らかとした。 2)これまでに得られた心筋症や心筋梗塞モデルに関しても計測を行ったところ、心筋症個体から得られた電流アローマップにおいては脱分極、再分極時の異常電流を認め、これらの所見がMRIや心エコー検査所見、病理組織学的検索における左室心筋のびまん性線維化所見と一致する事を見出した。 3)得られた心疾患の病態把握に努めると同時に、心疾患モデルとしての付加価値の可能性を探る目的で疾患関連遺伝子の特定を行うため、ヒトで報告のある心筋発現蛋白質Phospholamban、δ-sarcoglycanのmutation部位を参照にprimerを設計し、検索を行った。その結果、心筋症個体ではヒトと全く同一の変異は認められなかったがδ-sarcoglycanのR97Q別領域に発症個体特異的なSNPsの存在が示唆された。 本年度は以上の内容を国内外の多くの学会に発表し、その成果を広く公開した。
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