2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700450
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
斉藤 美知子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40379558)
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Keywords | 疾患モデル / 糖尿病 / 毒素受容体 |
Research Abstract |
昨年度に作製したトランスジェニックマウス(Tg)ラインの解析を行った。ヒトインスリンプロモーターを用いたラインに関しては、13ラインのTgマウスができ、そのうち8ラインが繁殖に成功した。これらの2世代目もしくは3世代目を利用し、まず毒素投与により糖尿病を発症するかどうかをマウスのLD50(500μg/体重kg)の1/10量である50μg/体重kg腹腔内投与して確認した。血糖値を1週間測定したところ、血糖値上昇が見られたのはhIns-TR6-2M3という1ラインのみであった。次に、このマウスに関して膵β細胞の分布、膵島形態異常が人工毒素受容体を用いることによって改善されたかどうか調べるために、免疫組織学的解析を行ったところ、形態異常や細胞分布における異常は認められなかった。しかし、毒素受容体の発現を受容体に融合したGFPにより確認したところ、一部のβ細胞にしか発現が認められず、さらにα細胞での発現も認められた。一方、ラットインスリンプロモーターを用いたラインは、10ラインのTgマウスができ、そのうち3ラインのみが繁殖できた。これらの2世代目もしくは3世代目以降に毒素投与を行ったところ、1ライン(RIP-TR6-2F12)のみ血糖値上昇が観察された。免疫組織学的解析により、このラインでは、正常なランゲルハンス島の形態、細胞の分布をとっていることが確認できた。しかし、毒素受容体の発現が少なくまばらであった。以上より、人工毒素受容体を用いて糖尿病モデルマウスを作製したところ、野生型毒素受容体を利用した場合に起こっていた異常の一部が改善できた。しかし発現している細胞が少なく、毒素の効きが悪いことが想定される。今後、ホモ個体を作製してさらなる解析を行うことを予定している。
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