2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトとマウスの種間差を補うウサギ幹細胞システムの確立
Project/Area Number |
21700453
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本多 新 独立行政法人理化学研究所, 遺伝工学基盤技術室, 客員研究員 (10373367)
|
Keywords | ウサギ / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
これまでに我々は、ウサギES細胞の樹立に成功していたが、さらにその後の詳細な解析により、樹立したウサギES細胞は、その形態や未分化性維持機構がヒトES細胞に似ていることを明らかにし誌上発表した。ウサギのES細胞がヒトES細胞に似ていたことから、ウサギ多能性幹細胞を利用して、ヒト再生医療のモデルを構築することができれば、非常に扱いやすいヒト実験モデル動物となりうる。そこで、ウサギiPS細胞の樹立を目指して研究を開始した。その結果、成体ウサギの肝臓と胃の細胞からウサギiPS細胞の樹立に成功した。樹立したウサギiPS細胞は、継代を進めることにより、その性質がウサギES細胞に近づいていくことも確認したが、それでもES細胞とは異なる部分が存在することも明らかにし誌上発表した。これまでマウスやヒトの多能性幹細胞でも同様の事実が報告されており、樹立したiPS細胞の質を評価する場合、同種のES細胞との比較が非常に重要な意味合いを持つことが再認識された。これらの成果は、ウサギ多能性幹細胞を用いた再生医療のモデル実験系や、ジーンターゲティング技術の構築に向けて大きな前進になっただけでなく、実験動物としてのウサギの重要性を再確認させるものであり、今後ウサギを用いた研究がより活性化することが期待される。
|