2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホグシグナルを伝達するSufuの点突然変異マウスを用いた発がん機構の解明
Project/Area Number |
21700454
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
牧野 茂 The Institute of Physical and Chemical Research, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (30462732)
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Keywords | ヘッジホグシグナル伝達 / ENU / gene-driven mutagenesis / 点突然変異 / 発がん / 発生 / 神経管形成 / Sufu |
Research Abstract |
マウス形態形成や発がんに重要な役割を果たすと考えられているヘッジホグシグナル伝達機構の解明を目指し、理研ENU誘発マウス突然変異ライブラリーのスクリーニングによって得られたSufu遺伝子内の点突然変異R146XとT396Iの解析を行った。発生9.5日胚において神経管の背腹軸形成を、複数のマーカー遺伝子の発現領域を基に調べたところ、R146X胚では、Sufuノックアウト胚と同様の強い腹側化が観察された。また、T396I胚では、R146Xと比較して軽度の腹側化が観察されたため、R146Xは、機能を完全に欠失した突然変異である事が、また、T396Iは、部分的機能低下型(ハイポモルフ)の突然変異である事が示唆された。 各突然変異マウスが示す表現型の分子的機構を明らかにするため、変異Sufuタンパク質分子の活性や特徴をin vitroの系で解析した。その結果、R146Xは、Hhシグナル伝達の抑制活性を全く示さなかった事から、R146Xは、完全な機能喪失型のアリルであり事が明らかとなった。また、T396Iタンパク質は、野生型Sufuタンパク質と同等のHhシグナル抑制活性を示す反面、安定性が半減していた事から、T396I突然変異は、Sufuタンパク質の安定化に関与する可能性が考えられた。さらに、発生9.5日胚でT396Iタンパク質の発現量を調べたところ、野生型胚と比較してSufuタンパク質の発現量は著しく低かった。以上の結果により、T396I突然変異は、不安定化したSufuタンパク質が著しく減少したことによる機能低下型の突然変異である事が明らかとなった。当該年度の研究により、ヘッジホグシグナル伝達では、Sufuタンパク質量がシグナルの強さを決定する因子の一つである可能性が見いだされたため、今後は、Sufuタンパク質量の調節機構の解明を通して、形態形成や発がん機構の解明を目指す。
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Research Products
(7 results)