2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホグシグナルを伝達するSufuの点突然変異マウスを用いた発がん機構の解明
Project/Area Number |
21700454
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
牧野 茂 独立行政法人理化学研究所, 新規変異マウス研究開発チーム, 開発研究員 (30462732)
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Keywords | 点突然変異マウス / ENUミュータジェネシス / Gene-driven mutagenesis / ヘッジホグシグナル伝達 / Sufu / Gli / タンパク質の安定性 / 発がん |
Research Abstract |
ヘッジホグ(Hh)シグナル伝達系は、胎児の発生や発がんに重要な役割を果たす事が知られている。これまでの遺伝学的解析により、Sufuは、膜タンパク質SmoからGli転写因子へ、シグナルを抑制的に仲介する因子であると考えられてきた。さらに、近年、作用機序は不明であるが、Sufuは、Gli3^<FL>の安定性化や、Gli3^<FL>から転写抑制活性を持つGli3^<REP>へのプロセシング反応に必須であることが示された。また、生成されたGli3^<REP>は、Sufuによる活性や安定性の制御を受けないことも示された。 昨年度、本研究課題において、理研ENUマウス点突然変異ライブラリーから見いだしたSufuT396Iミスセンス変異系統の発生遺伝学的解析を行い、T396I突然変異は、部分的に機能を欠損した突然変異である事を明らかにした。本年度は、その成果を基に、これまでは相互作用しないと考えられてきたSufuとGli3^<REP>の間に、SufuのThr^<396>残基を介したGli3^<REP>活性調節機構が存在する事を明らかにした。 1、SufuによるGli3^<REP>の安定化 2010年にHumkeらやWangらによって発表された知見に反して、野生型Sufuは、Gli3^<REP>を安定化する活性を持ち、さらに、その活性は、Thr^<396>残基に依存する事を見いだした。 2、SufuによるGli3^<REP>の細胞内局在調節 野生型Sufuは、Gli3^<REP>の細胞質への局在を促進する活性を持つ事を初めて見いだした。一方、T396IによるGli3^<REP>の細胞質局在は著しく低下しため、Sufuは、Thr^<396>を介してGli3^<REP>の細胞質局在を促進する事を見いだした。 これらの結果は、点突然変異を生体内で解析して初めて分かった事であり、長年にわたって謎とされて来たHhシグナル伝達機構の解明に大きく近づくことができた。
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Research Products
(7 results)