2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700455
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
下澤 律浩 独立行政法人 医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 研究員 (50300786)
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Keywords | クローン / 核移植 / 体外培養 / 単為発生 / 活性化 |
Research Abstract |
昨年度の結果を踏まえ、ウサギ卵へサル体細胞(羊膜細胞)を導入し異種間核移植法を検討した。羊膜細胞はNocodazole処理によりM期への同調処理を行い、採取した細胞の中から核移植用のドナーとして選別した細胞は、ヘキスト染色でM期にあることを確認した。また、このドナーをウサギ卵と融合させると、ドナー由来の核はM期像を示した。M期にあるサル体細胞核がウサギ卵細胞質でM期に維持されることが確認され、体細胞核の初期化を誘導できる可能性を有する。次に、ウサギ卵の染色体を明視野で観察することは困難であることから、まず除核を行わずにドナー細胞を融合させ、活性化処理して前核を形成させた。ドナー注入部と異なる部位を目印に形成された前核の小さいものを除去することで、ドナー核を持つ異種核移植卵が作製されると考えられる。しかし、この前核の除去操作中に細胞膜が壊れて、この核移植卵の構築法の改良の必要性が認められた。そこで、卵の核の除去を簡便かつ確実にすべく、Nocodazole処理により染色体部分を突出させ、その部位を除去した。続けて、ドナー細胞を融合させ、活性化処理(IonomycinおよびCycloheximide)を行ったところ、多くの構築卵で正常な形態と考えられる1前核1極体を示した。しかしながら、桑実胚への発生は認められなかった。次に、MPFの安定状態での核移植を行うために、MG132を含む溶液中で核移植を実施した。この場合も多くの構築卵で1前核1極体を示したが、桑実胚への発生は認められなかった。多数のサル卵を用いた核移植法の検討は難しいため、本研究のようにウサギ卵を用いて核移植を実施することで、核移植卵の構築方法や核の動態を調べることに利用できることを示した。
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