2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性有機ナノ結晶によるバイオイメージングの高度化
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21700456
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 講師 (00436172)
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Keywords | 蛍光性有機ナノ結晶 / 共焦点レーザー顕微鏡観察 / 培養細胞イメージング / 有機溶媒フリー / 界面活性剤フリー / 再沈法 |
Research Abstract |
研究の目的 蛍光顕微鏡観察は生物医学研究において最も汎用なイメージング手法であり、生きた細胞や組織の低侵襲的なイメージングを可能とする。そのため蛍光顕微鏡観察において、高い量子収率や幅広い波長領域をカバーできる蛍光プローブのニーズが高まっている。本研究では、可視から近赤外域の蛍光波長領域をカバーする蛍光性有機ナノ結晶を用いた蛍光プローブの新規作製法の探索および共焦点レーザー顕微鏡を用いたバイオイメージングへのアプリケーション評価を行う。特に従来の蛍光色素プローブの問題とされている光退色性を克服した、量子ドット並みの光退色耐性を有する有機ナノ結晶蛍光プローブの研究開発を行う。 本年度(~平成22年3月31日)の研究実施内容 高量子収率を有するペリレン色素や細胞膜特異染色性のカルボシアニン誘導体色素を対象に、結晶サイズ・構造が制御されたナノ結晶の作製および光学特性の評価を行った。つづいて培養細胞系の共焦点レーザー顕微鏡を用いたリアルタイムイメージングにおける有機ナノ結晶蛍光プローブの結晶サイズ・構造特性、特異染色性の効果について評価を行った。有機ナノ結晶の作製には再沈法を使用した。溶液の濃度、水温、溶媒の種類、攪拌速度などの調整により結晶サイズおよび構造制御に成功した。結晶サイズ・構造は走査型電子顕微鏡、動的光散乱法および粉末X線回折により評価した。ナノ結晶の光学特性は紫外可視近赤外吸収スペクトル測定および分光蛍光測定により評価した。有機ナノ結晶水分散液から透析を用いて作製に使用した有機溶媒を除去し、有機溶媒フリーで水分散安定性に優れた蛍光性ナノ結晶水分散液の作製に成功した。培養細胞糸における共焦点レーザー顕微鏡観察から、蛍光性ナノ結晶は従来的なマイクロサイズ結晶や有機溶媒を使用する染色法と比較して、優れた蛍光染色効果を挙げることを明らかにした。新しい細胞イメージング法の開発に成功したととは分子生物学・ナノ医療分野たどにおいて大変意義深い。
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