2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性有機ナノ結晶によるバイオイメージングの高度化
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21700456
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (00436172)
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Keywords | バイオイメージング / 蛍光性有機ナノ結晶 |
Research Abstract |
可視から近赤外の波長領域をカバーする蛍光色素の中から対象化合物を選択し、結晶サイズ・構造が制御されたナノ結晶の作製および光学特性の評価を行い、培養細胞実験系で共焦点レーザー顕微鏡を用いた有機ナノ結晶蛍光プローブによる結晶サイズ・構造依存性、および特異染色性および光退色耐性の有効性を評価した。 具体的には有機ナノ結晶の作製に申請者らの研究グループが開発した再沈法を用いた。再沈法とは、再沈澱効果を利用して.有機ナノ結晶を水中に析出・安定分散させ、同時に結晶サイズ・構造を制御する手法である。再沈法によるナノ結晶化の手順として、第一にレーザー色素や有機EL素子用色素など高量子効率および高光退色耐性を有する蛍光色素を選定した。特にペリレン色素、カルボシアニン誘導体色素、キナクリドン色素、フルオレセイン誘導体色素を選択した。第二に実験条件を最適化し結晶サイズおよび構造制御を行い結晶サイズが20-200 nm近傍のナノ結晶の作製に成功した。結晶サイズ・構造は主に電子顕微鏡、動的光散乱法および粉末X線回折により評価した。ナノ結晶の光学特性は紫外可視吸収スペクトル測定および分光蛍光測定により評価した。 上記有機ナノ結晶蛍光プローブを培養細胞系に使用し共焦点蛍光レーザー顕微鏡で観察した結果、それぞれのナノ結晶に特徴がみられたが、ナノ結晶は細胞内に良く取り込まれ、また特異染色性があり、特に顔料系ナノ結晶は光退色性に優れていることが明らかとなった。加水分解型のフルオレセイン誘導体は低毒性であることから本研究の発展として動物実験への蛍光イメージングが期待でき、また研究過程で、温度応答性蛍光ナノ結晶を発見し、温度依存的な細胞の蛍光イメージングが将来技術として期待できる。本研究成果およびその発展性は学術的・社会的に意義が高くまた重要であり、本研究課題の遂行において当初の計画・目標は十分に達成できたといえる。
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