2010 Fiscal Year Annual Research Report
小動物のための超音波計測を融合した超高分解能血流解析
Project/Area Number |
21700459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
船本 健一 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (70451630)
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Keywords | 生物・生体工学 / 流体工学 / 計測融合シミュレーション / 血行力学 / 超音波計測 / 微小流路 / ポリビニルアルコール / 画像解析 |
Research Abstract |
循環器系疾患に関する研究において、動物実験により血管の内皮細胞上の遺伝子発現や病態の経時的変化の観察が可能である。これらを血行力学の正確かつ詳細な情報と比較できれば、疾患の機序が一層明らかになり、より高度な診療および予防方法を確立できる。本研究では、小動物のミクロンレベルの血管内の血流場を正確かつ詳細に再現し、血行力学の情報を得る方法として、血流の超音波計測結果と数値解析結果の間の誤差をフィードバックしながら計算を行う「小動物の血流の超音波計測融合シミュレーション」を開発する。 本年度は、前年度に引き続き、微小流路モデル内の流れやヒトの指の動脈(φ約1mm)内の血流を計測対象とし、開発手法の精度の向上に取り組むと共に、生体計測に対する有用性の検証を行った。超音波Bモード画像から血管の輪郭をパターンマッチングにより取得し、3次元位置検出装置を用いて同時に得られるプローブの位置と姿勢の情報を基に、3次元の血管形状を100μm程度の精度で抽出できるようになった。また、超音波プローブを機械走査式から電子走査式のものに交換したことにより、最大1000frame/sのBモード計測と、血流速度の情報を提供するカラードプラ計測が可能となった。これに伴い、超音波計測融合シミュレーションのフィードバックに用いる計測情報として、血流のドプラ速度を用いるようにプログラムを改良した。ここで、超音波計測には本質的に計測誤差が含まれ、それらが計算精度を悪化させることが考えられた。そこで、ノイズ、エイリアシング、ウォールフィルターおよびデータの欠落の4つの主な計測誤差について、それらが計算精度に与える影響を明らかにした。さらに、それらの計測誤差の検出方法を提案し、エイリアシングの位置およびドプラ速度の計測値がゼロの位置ではフィードバックを行わないことにより、計算精度の悪化が避けられることを示した。
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