2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700466
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 高志 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (90456939)
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Keywords | HBV / 膜融合ペプチド / 感染機構 |
Research Abstract |
本研究は、B型肝炎ウイルスの感染機構を試験管内で詳細に解析することにより、既存の逆転写酵素阻害剤に代わる、新しい作用機序の治療薬の開発に繋がる基礎的知見を得ることを目的としている。本年度は、近年抗ウイルス薬の標的として注目されるウイルスの膜融合機構に着目し、昨年度までに24アミノ酸残基に絞り込んだHBVの新規膜融合モチーフを生化学的手法により詳細に解析を行なった。始めに、合成ペプチドを表面提示するリポソームを用いたin Vitro膜融合アッセイ法(lipid-mixing assayおよびleakage assay)を構築し、新規膜融合モチーフの膜融合活性を詳細に解析した。その結果、膜融合の活性中心領域として15アミノ酸残基PreS1(9-29)を同定し、その中の連続した2つのフェニルアラニン残基(F14/15)が必須アミノ酸残基であることを明らかにした。またPreS1(9-24)は、Iipid-mixing活性に比べleakage活性が著しく高いことから,膜の破壊を引き起こす可能性が示唆された。そのため、蛍光標識ジャイアントリポソームを用いて形態学的解析を行なったところ、ペプチドの添加に伴いリポソームの崩壊が観察され、PreS1(9-24)が膜破壊能を有していることが明らかとなった。さらに、遠紫外円偏光二色性スペクトル法を用いてPreS1(9-24)の二次構造解析を行なったところ、40%TFE存在下の疎水性条件において、α-helix構造の割合が増加することが明らかとなった。このような構造変化は、膜融合活性を示さない変異体PreS1(9-24:F14/15A)では観察されないことから、ペプチドの構造変化が膜融合活性(膜破壊活性)の発現に重要と推定された。
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