Research Abstract |
従来,赤血球の力学的特性の定量評価は,原子間力顕微鏡やマイクロピペット法により詳細に行われている.一方,複数の赤血球に関する力学的な評価は,マイクロチャネルと呼ばれる微細な流れ場における赤血球の挙動から,間接的に測定する方法がある.そこで本研究では,多数の赤血球について変形能を定量化する方法の提案を目的としている.提案している方法は,薄められた赤血球試料に外部からせん断応力負荷を与え変形させ,せん断応力負荷の大きさと変形量の関係から,赤血球の力学的特性を推定することである. 今年度は,画像処理プログラムのノイズ対策の改善,赤血球の力学モデルの構築,赤血球の赤血球にせん断応力を負荷する機構部の設計と試作などを行った.画像処理プログラムの作成では,照明のムラおよび背景ノイズを除去するためのFFT処理の追加などを主に行い,良好な画像処理を行えるようになった.赤血球の力学モデルは,複数個で構成される,質量,粘性,弾性モデルについて1次化を行い,厳密解との比較検討を行った.せん断応力負荷機構では,当初の設計では,試作後,赤血球試料の充填方法,間隙調整の困難などの問題が発覚し,現在,その問題を解決する機構を考案し,試作を行っている段階である.
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