2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工関節ステム-骨組織間の応力と変位量に基づく固定法評価基準の確立
Project/Area Number |
21700470
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 利奈 Kitasato University, 医療衛生学部, 講師 (10383647)
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Keywords | 人工股関節 / インプラント / 股関節ステム / 初期固定 / 有限要素解析 / シミュレーション / 応力 / 変位量 |
Research Abstract |
当該研究において人工股関節ステム形状の特徴的な固定部位か初期固定に機能するか否かを評価するため,人工股関節と骨組織の三次元有限要素解析と実験計測を行った.疲労強度試験の労力を大幅に低減できる評価手法としてシミュレーションに着目し,効果的に研究を進めるため有限要素解析がら着手した.'整形系インプラントの力学特性評価において,代表的な指標である応力について調べるため,代表的な3種類の人工股関節ステムを対象とし有限要素モデルを構築した.単体応力評価,及び骨に設置した複合系での数値計算による応力に関して具体的に数値を明らかにした上で計算的評価方法を確立した.インプラントの数値シミュレーションによる評価に関心が高い米国の動向を把握するため,ASTMでの標準化の動きを適宜調査し本課題を遂行した.解析によって得られた指標毎の評価基準の妥当性を実験計測により確認するため,ヒト人工大腿骨を用いた骨-ステム系の実モデルにおいて解析と同等の条件を適用し,固定法評価への展開を図った.ステムに数GPaの応力が認められた場合,破損が危惧されるが本解析結果,測定結果においていずれのステムにおいても応力集中は認められなかった.固定部周囲の固定性を判定する際の基準のひとつとして応力分布の評価が有用であることを示した.整備した評価案については市場適合性の観点からメーカー側の意向だけでなく,臨床医の意向も配慮し,患者に対する安全性を最重要課題とした.関係学会をはじめとする幅広い関係者から評価基準に関する意見を聞き,特に安全面での確保には十分な考慮を払った.人工股関節ステムの応力伝達様式に関ずる測定や解析はこれまで多くの研究者によって報告されているが固定法を評価するための基準を構築した研究は本研究課題のみである.
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