2009 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化形成過程における単球浸潤部位への内皮細胞PECAM-1局所輸送機構の解析
Project/Area Number |
21700476
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
橋本 謙 Kawasaki Medical School, 医学部, 助教 (80341080)
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Keywords | 動脈硬化 / 単球 / 内皮細胞 / 浸潤 / PECAM-1 / マクロファージ / 分子イメージング |
Research Abstract |
動脈硬化形成の初期過程では,血中の単球が酸化LDL等により傷害された血管内皮細胞に接着・内皮下組織へ浸潤(Trans-endothelial migration; TEM)してマクロファージとなり,内膜に蓄積することで病巣形成が始まる.我々は,生細胞分子イメージングにより,単球の浸潤後,内皮細胞の膜蛋白であるPECAM-1が浸潤部位へ持続的に集積することを確認した.また,予備検討において,PECAM-1の細胞内ドメインに結合するシグナル分子であるSHP-2をsiRNAによりノックダウンするとPECAM-1集積が抑制されたことから,PECAM-1の集積がSHP-2を介した機序により起こることが示唆された.一方,単球-内皮細胞間のPECAM-1同士の結合は浸潤を促進すると考えられる為,PECAM-1の浸潤部位への集積は同一部位での次の単球浸潤(repeated-TEM)を促し,結果として慢性病巣形成を促進すると考えられる.ライブイメージングによる詳細な解析の結果,50%(n=20 cells)の単球が以前に別の単球が浸潤したのと同一又は類似の部位で浸潤していた.以上より,単球の浸潤が,SHP-2を介した内皮細胞PECAM-1の浸潤部位局所への持続的集積を引き起こし,これが同一部位での次の単球の浸潤(repeated-TEM)を誘発していると考えられた.このことがマクロファージ蓄積におけるpositive feedback系として働き,長い時間をかけて進行する慢性炎症疾患である動脈硬化の病巣進展に関与する一因子であることが想定された.
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Research Products
(9 results)