2009 Fiscal Year Annual Research Report
血液自身を潤滑液として回転浮上する長期使用可能な補助循環ポンプに関する研究開発
Project/Area Number |
21700479
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小阪 亮 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 人間福祉医工学研究部門, 研究員 (10415680)
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Keywords | 人工心臓 / 動圧軸受 / 流体力 / 軸受隙間 / CFD |
Research Abstract |
現在、開胸手術なしに生命維持を可能にする経皮的心肺補助装置(PCPS)や体外式膜型人工肺(ECMO)などの緊急医療で使用されている補助循環ポンプは、短期使用が前提である接触式の軸受を採用しているため、危機的状況を脱した後の固体接触で生じる軸受の磨耗による耐久性や、溶血や血栓形成などの血液適合性に課題か残っている。そのため、長期耐久性と低溶血性、耐血栓性を有する磁気軸受や動圧軸受を使った非接触の軸受が求められている。本研究では、センサレスで動作する高い信頼性を有する動圧軸受を採用し、長期耐久性と血液適合性に優れた長期補助循環使用を目的に、補助循環ポンプに作用する流体力による軸推力をインペラの浮上に利用することで、血液自身を潤滑液として浮上回転する遠心血液ポンプを研究開発する。本年度は、血液自身を潤滑液として浮上回転するために動圧軸受の数値流体(CFD)シミュレータの開発と、試作機を用いた評価試験を実施した。開発した動圧軸受のCFDシミュレータは、潤滑理論におけるレイノルズ方程式を離散化して用い、インペラの内周部と外周部の境界条件を与えることで、動圧軸受内の圧力分布を得ることが出来る。さらに、解析領域をインペラの動圧軸受面に広けることで、動圧軸受全体の発生流体力を算出することが出来る。また、CFDシミュレータの妥当性を検証するために、フライス盤を用いたインペラの流体力計測装置を開発した。本装置は、試作インペラをフライス盤のシャフトに取り付け回転させ、軸受隙間をレーザー焦点距離計で計測しながら、インペラの発生圧を電子天秤により計測する。本装置を用いて動圧軸受の発生力を計測した結果、各軸受隙間における動圧軸受の発生刀は数値解研の解析結果とほほ等しいことか確認された。
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