2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液自身を潤滑液として回転浮上する長期使用可能な補助循環ポンプに関する研究開発
Project/Area Number |
21700479
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小阪 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (10415680)
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Keywords | 人工心臓 / 動圧軸受 / ラジアル安定 / 溶血 / 軸受隙間 / 国際情報交換 / イギリス:ドイツ |
Research Abstract |
現在、開胸手術なしに生命維持を可能にする経皮的心肺補助装置(PCPS)や体外式膜型人工肺(ECMO)などの緊急医療で使用されている補助循環ポンプは、短期使用が前提である接触式の軸受を採用しているため、危機的状況を脱した後の固体接触で生じる軸受の磨耗による耐久性や、溶血や血栓形成などの血液適合性に課題が残っている。そのため、長期耐久性と低溶血性、耐血栓性を有する磁気軸受や動圧軸受を使った非接触の軸受が求められている。本研究では、センサレスで動作する高い信頼性を有する動圧軸受を採用し、長期耐久性と血液適合性に優れた長期補助循環使用を目的に、補助循環ポンプに作用する流体力による軸推力をインペラの浮上に利用することで、血液自身を潤滑液として浮上回転する遠心血液ポンプを研究開発する。本年度は、動圧ポンプのラジアル動圧軸受の評価を目的に、インペラのラジアル変位評価試験と溶血評価試験を実施した。評価対象としたモデルは、ラジアル動圧軸受を有するモデルと動圧軸受を持たないモデル、動圧軸受を持たないが軸受隙間の大きいモデルの合計3種類である。ラジアル変位計測試験では、X軸用とY軸用の2つのレーザー変位計を用いて、人工心臓内を浮上回転しているインペラの位置を非接触で計測することで、溶血に影響を及ぼすラジアル方向の最小軸受隙間を求めた。また、溶血評価試験では、作動流体に牛血を用い、体外循環時の駆動条件で4時間駆動させたときの赤血球の壊れやすさを評価した。これらの試験の結果、ラジアル軸受で生じる溶血は最小軸受隙間と関連性を持つことがわかった。また、同じ最小軸受隙間でも、ラジアル動圧軸受を持つモデルでは、動圧軸受を持たないモデルよりも溶血特性に優れていることがわかった。
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