2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋音図によるトレーニング初期の神経系機能の適応による筋力増強の評価についての研究
Project/Area Number |
21700482
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Research Institution | Hyogo Assistive Technology Research and Design Institute |
Principal Investigator |
原 良昭 兵庫県立福祉のまちづくり研究所, 研究第二グループ, 研究員 (00426545)
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Keywords | 筋音図 / 筋生理 / レジスタンストレーニング |
Research Abstract |
本研究の目的はトレーニング初期に生じる神経系機能の適応による筋力増強は遅筋線維群と速筋線維群のどちら筋線維群で生じるのかを明らかにすることである. 本年度では5名の男性健常成人(平均年齢25.6歳,標準偏差2.2歳)の右上腕二頭筋に対して,約2週間の高負荷低頻度のトレーニングを行い,トレーニング前後の筋音図の変化から,トレーニング初期に生じる神経系機能の適応は遅筋線維群と速筋線維群のどちらで生じているのかを調べた. 被験者はトレーニング開始前に肘関節の最大屈曲力とランプ状収縮時の筋音図を測定し,その後,約2週間のトレーニング期間後,再度,肘関節の最大屈曲力とランプ状収縮時の筋音図を測定する. 肘の最大屈曲力(100%MVC)は,最大努力で3秒間の収縮を5回行い,得られた最大値とした.また,各試行間には5分以上の休憩を設けた.筋音図のランプ状収縮では,10%MVCから60%MVCまで収縮強度を10%MVC/秒で増加していくときの筋音図を10回測定した.また,試行間は約5分の休憩を設けた.測定後,全波整流平滑化した筋音図が急峻に増加する%MVC(速筋線維群の活動が生じ始めたと考えられる%MVC)を目視にて求めた. トレーニング期間中は,肘関節の屈曲を最大努力で5秒間の負荷を5分間の休憩を挟みながら5回与えるトレーニングを約2日おきに行った. 被験者5名中4名ではトレーニング前を基準とすると最大屈曲力は平均して約29%の増加が認められた.屈曲力の増加が認められた4名について,筋音図が急峻に増加する%MVCの変化を調べたところ,2名については有意な増減がなく,1名は増加(約5%MVC, p=0.007)しており,残り1名は減少(5%MVC, p=0.02)と一定の傾向を示さなかった. 上記の結果から,トレーニング初期に生じる神経機能の適応はどちらの筋線維群でも生じていることが示された.
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