2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体用ジルコニウム合金の高耐食性化と腐食機構の解明
Project/Area Number |
21700486
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堤 祐介 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 助教 (60447498)
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Keywords | 生体用金属材料 / ジルコニウム / 耐食性 / 腐食 |
Research Abstract |
チタンと同族の元素であるジルコニウムは、新たな生体用金属材料として期待され、近年になり急激に主および副成分としての使用頻度が高まっている。溶出イオンが生体へ及ぼす影響を考慮すると、金属材料にとって耐食性は非常に重要な性質である。しかしながら、体内環境を模擬した条件におけるジルコニウムの腐食挙動に関する報告はほとんどない。本研究は、この問題に対し、様々な組成のジルコニウム基合金を作製し、擬似体液中の耐食性を詳細に評価することで、ジルコニウムの耐食性を左右する添加合金元素の種類や濃度に関するデータを広範囲に収集・蓄積すること、およびこの結果を応用し、生体中で非常に高い耐食性を発揮する新たなジルコニウム合金を開発すること、さらに、これまでほとんど明らかにされてこなかったジルコニウムの擬似体液中における腐食メカニズムを解明することを目的とした。 研究の初年度にあたる本年度は、当初の計画通り、毒性が低く、ジルコニウム合金への添加が有力視される元素を用いて、さまざまな組成のジルコニウム基二元合金を作成し、疑似体液中における耐食性を評価することで、これまでに明らかにしてきたチタン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、パラジウム、白金の結果に加え、データベースの充実を目的とした。歯科用合金の主成分である金、銀、および銅を用いてジルコニウムの二元合金を作成し、疑似体液中で腐食試験を行ったところ、これらの金属はほとんどの場合、耐食性を低下させることが明らかになった。すなわち、これらをジルコニウムの合金元素として添加することがたとえ機械的性質向上に有効であっても、耐食性および生体への安全性の観点からは、十分な注意を要することが明らかになった。
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