2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700488
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松村 和明 Kyoto University, 再生医科学研究所, 研究員 (00432328)
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Keywords | 凍結保存 / 幹細胞 / 両性高分子 |
Research Abstract |
ポリリジンを無水コハク酸と反応させることによりカルボキシル基を導入し、様々なカルボキシル基導入量のカルボキシル化ポリリジンを作成した。それぞれのカルボキシル化ポリリジンを培養液に0-20%に溶解し、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞を懸濁して-80度のフリーザー中にて凍結した。このとき、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの既存の凍害保護剤、血清タンパクなどは含まなかった。また10%DMSO溶液で凍結したものを比較対象とした。カルボキシル基導入率が65%程度で90%程度の最も高い生存率を示し、濃度は5%以上で良好な結果であった。最適化の結果、カルボキシル化65%(PLL(0.65))、濃度7.5%で最も良好なハンドリングとコントロール系よりも高い生存率、増殖率が得られた。また、解凍後の骨、軟骨、脂肪への分化能も維持されていた。ヒト脂肪由来幹細胞も同じようにPLL(0.65)7.5%-15%においてコントロールよりも高い生存率、増殖性、同等の分化能維持を確認した。PLL(0.65)は両幹細胞のどちらにおいてもDMSOよりも有意に低い毒性であることが示された。また、10種以上の樹立細胞株に関しても同様な凍結保護効果が見られ、汎用性も確認した。機序の解明に関しては、アミノ基を導入したポリカルボン酸にもある程度凍結保護効果が見られることから、両性高分子特有の性質であることが示唆された。また、FITC固定化PLL(0.65)によりこの高分子が凍結時に細胞膜を保護していることも確認した。これらの結果よりカルボキシル化ポリリジンは低い毒性と高い凍結保護能を持ち、分化への影響も低く、動物性タンパク質を用いることなく間葉系の幹細胞を凍結することが可能であり、安全性と効率性を兼ね備えた新規な凍害保護剤が開発されたと考える。引き続き、ヒトiPS細胞の凍結保存に取り組んでいるところである。
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Research Products
(5 results)