2009 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲンを特異的に認識するインテリジェント生体架橋剤の創製
Project/Area Number |
21700490
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 典弥 Osaka University, 工学研究科, 助教 (00419467)
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Keywords | 生体材料 / 再生医学 / ナノバイオ |
Research Abstract |
本研究は、コラーゲンの三重らせん形成に着目した弱い分子間相互作用を駆動力とするコラーゲン選択的インテリジェント生体架橋剤の開発を目的としている。本年度は、生体架橋剤の合成と最適化、またコラーゲン分子との架橋形成の評価を研究した。 縮合反応の条件を検討することで、2,4,8本鎖のPEGにコラーゲンモデルペプチド(POG)_<10>を結合することができた。収率・POGの導入率共に80%以上で良好であった。得られたPEG-(POG)_<10>とコラーゲン分子との架橋形成を評価した。申請前の知見として、I型コラーゲンと4-arm-PEG-(POG)_<10>を混合するとゲル化することをすでに見出していた。そこで、II型、III型、IV型、V型コラーゲンと様々な種類のコラーゲンとの架橋形成を検討した結果、I型、II型、III型と線維性のコラーゲンはゲル化するが、IV型など非線維性のコラーゲンは認識せず、ゲル化しないことを見出した。また、コラーゲン以外の合成高分子、天然由来高分子、タンパク質は認識せず、まったく架橋しないことも明らかとなった。生体のコラーゲンのみを特異的に認識する生体架橋剤はこれまで例が無く、初めてである。 また、表面プラズモン共鳴スペクトル装置により、4-arm-PEG-(POG)_<10>と各種コラーゲンの相互作用力を評価した結果、やはり線維性コラーゲンのみ相互作用し、非線維性コラーゲンとは相互作用しないことが確認された。さらに、I型、II型、III型との解離定数(K_D)は10^<-7>Mと非常に強く結合していることが明らかとなった。 以上より、本年度は極めて順調に計画を推進することができた。本数の異なる新規生体架橋剤を合成することに成功し、また線維性コラーゲンに対する高い特異性を見出すことができた。
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