2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700491
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
児島 千恵 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (50405346)
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Keywords | 薬物輸送 / ゲル / ナノ医療 / 高分子材料 / 乳癌 |
Research Abstract |
厚生労働省の統計によると、日本の死因の第一位は悪性新生物(癌)であり、女性においては最も羅患率が最も高いのは乳癌である。したがって、児島は乳癌治療のための新しいドラッグデリバリーシステム(DDS)の材料作製に関する研究を行ってきた。これまでの研究で、我々の作製したDDS材料は培養実験において転移性の高い細胞に選択的な薬理活性を示した。このDDS材料は抗癌剤結合高分子とコラーゲンの混合物である。本研究では、抗癌剤結合高分子の構造を改善することによって、より効果的な薬物送達を実現する。 前年度は高分子の構造と薬理活性との相関について検討したが、本年度は抗癌剤結合高分子の表面と薬理活性との相関について検討した。すなわち、抗癌剤結合高分子にコラーゲンペプチドを結合させることで、薬理活性の向上を行った。コラーゲンは細胞外基質の主成分であるため、そのペプチドは高い細胞接着性を有する。したがって、細胞への取込量が増大すると期待される。予想通り、コラーゲンペプチドを導入した薬物結合高分子では転移能の高い乳癌細胞MDA-MB-231細胞に対する高い薬理活性が得られた。鎖長の異なるコラーゲンペプチドを用いて薬理活性への影響を検討したが、ほとんど影響はなかった。続いて、コラーゲンペプチドを結合した抗癌剤結合高分子をハイブリッドしたコラーゲンゲルの抗腫瘍効果について検討した。乳癌細胞MDA-MB-231細胞を坦癌したヌードマウスを作製し、上記のゲルを患部に注入した。腫瘍サイズを計測したところ、投薬していない腫瘍と比較して著しい腫瘍抑制効果が得られた。以上より、転移性癌細胞に対する効果的なDDS材料を作製することができた。
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Research Products
(12 results)