2009 Fiscal Year Annual Research Report
高効率に標的遺伝子組み換え可能なヒト万能細胞の創製
Project/Area Number |
21700492
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 啓一郎 Saitama Medical University, 医学部, 助教 (70433654)
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Keywords | 遺伝子ターゲッティング / ヒトiPS細胞 |
Research Abstract |
再生医療や創薬研究など様々な分野への応用が期待されているヒト人工多能性幹(iPS)細胞を用いて遺伝子ターゲッティング効率(GT;Gene targeting)が高い細胞を創製するために、染色体中へのランダムな組み込み経路(RI;Random integration)で重要な役割を果たす事が予想されるDNAライゲース遺伝子群及びKU70・KU80遺伝子をノックアウトしたヒトiPS細胞株の樹立を試みた。元々、相同組換え効率の低いヒトiPS細胞における遺伝子ノックアウトには、申請者らがヒトES細胞で確立したヘルパー依存型ウイルスベクター(HDAdV)を用いた高効率相同組換え法を用いた。 今年度はまず始めに、KU70,KU80,LIG1,LIG3,LIG4遺伝子の一部をネオマイシン耐性遺伝子に置換した遺伝子破壊用ベクターの作製を行い、LIG4以外の4種類の遺伝子破壊用HDAdVの作製に成功した。 次にこれら作製した4種類のベクターを用い、相同組換えによりそれぞれの遺伝子の片方のアリルをネオマイシン耐性遺伝子に置換したヘテロ変異ヒトiPS細胞の作製を試みた。相同組換えによる標的遺伝子破壊の確認はPCRとサザンプロット法を用いて行ない、この結果、KU80,LIG1,LIG3遺伝子それぞれのヘテロ変異細胞の樹立に成功した。また、これらの遺伝子が細胞の生存に必須である可能性も踏まえ、KU70,KU80,LIG1,LIG3,LIG4遺伝子を発現抑制するshRNAを発現するレンチウイルスベクターも作製した。 平成22年度は、これらヘテロ変異株と遺伝子発現抑制ベクターを組み合わせ、遺伝子ターゲッティング効率を測定する事で、RI経路におけるこれら遺伝子の役割を明らかとする。これらの細胞ではRI経路が阻害される事が予想され、相対的にGT効率の高いヒトiPS細胞の樹立を目指す。
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Research Products
(2 results)