2009 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性ナノ相分離表面の創製と細胞の接脱着制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
21700493
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中山 正道 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 講師 (00338980)
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Keywords | 温度応答性 / ブロックコポリマー / ナノ相分離 / 細胞 / 細胞シート / RAFT重合 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) |
Research Abstract |
本研究ではpoly(n-butyl methacrylate)-b-poly(N-isopropylacrylamide)(PBMA-b-PIPAAm)を調製し、下限臨界溶液温度(LCST)を境とした温度変化によるPIPAAmの親水・疎水性の相転移によりドメイン特性が変化するナノ相分離構造を構築することで、温度変化のみで細胞の接着・脱着の制御を実現するインテリジェント型ナノ相分離表面の構築について検討した。 RAFT重合により分子量制御した疎水性高分子鎖であるPBMAを合成した。得られたPBMAをマクロRAFT剤としてPIPAAmを連結したブロックコポリマーを調製した。有機溶媒に溶解したブロックポリマーをポリスチレン基材表面にスピンコートし、乾燥することで高分子被覆基板を作製した。この際、ポリマー濃度や回転数が及ぼす基板表面の特性の違いについて、全反射型フーリエ変換赤外分光(ATR/FT-IR)法等により評価した。また、ウシ血管内皮細胞を用いて温度変化(20℃および37℃)にともなう高分子修飾基板への単一細胞の接着・脱着挙動について検討した。ATR/FT-IR法により基板上に存在するPPAAm量を測定し、ブロックポリマーを基板上に簡便かつ安定に被覆できることがわかった。一方、PIPAAm鎖のLCST以上である37℃で作製した基板上に細胞が接着することが確認された。さらに細胞が接着した基板に20℃の低温処理を施すことで、基板表面からの細胞の脱着が観察された。以上より、本手法により細胞の接着・脱着を温度変化で制御できるインテリジェント表面を構築できることが明らかとなった。今後、表面に導入する高分子の化学組成や分子量が及ぼす表面上への細胞の接着・増殖挙動を検討する。
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