2010 Fiscal Year Annual Research Report
温度応答性ナノ相分離表面の創製と細胞の接脱着制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
21700493
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
中山 正道 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00338980)
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Keywords | 温度応答性高分子 / ブロックコポリマー / RAFT重合 / 細胞 / コーティング / 組織工学 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) |
Research Abstract |
本研究では温度応答性高分子であるpoly (N-isopropylacrylamide) (PIPAAm)と疎水性高分子であるpoly (n-butyl methacrylate) (PBMA)を連結したブロック共重合体を調製し、基板表面に薄膜状態で被覆することで、PIPAAmの下限臨界溶液温度(LCST)を境とした温度変化で細胞の接着・脱着の制御を実現する簡便な温度応答性表面の作製技術について検討した。 分子量制御したPBMA-b-PIPAAm(分子量25000,BMA/IPAAm:79/120)を有機溶媒に溶解し、市販の細胞培養用ポリスチレン表面にスピンコートすることで高分子被覆基板を作製した。ポリマー濃度を変化することで、表面PIPAAm量および高分子層の膜厚を制御することが可能であった。IPAAmホモポリマーと異なり、PBMAを連結することで基板表面に修飾した高分子層の水中安定性を劇的に向上させることに成功した。また、ウシ血管内皮細胞を用いて温度変化(20℃および37℃)にともなう高分子修飾基板への細胞の接着・脱着挙動について検討した。37℃における細胞の表面接着性は、PIPAAm量および膜厚の増加にともない減少した。これに対して、20℃の低温処理における細胞の自発的な剥離挙動は、PIPAAm量および膜厚の増加にともない促進した。PIPAAm量および膜厚を最適化することで、コンフルエント状態まで培養した細胞をシート状の組織として回収することが可能となった。以上の結果より、温度応答性ブロック共重合体を表面にナノスケールの膜厚でコーティングすることで、温度変化による細胞シート回収が可能な温度応答性細胞培養基材を作製できることが明らかとなった。
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