2009 Fiscal Year Annual Research Report
圧入力に対する脈波応答特性に基づく血管特性推定システムに関する研究
Project/Area Number |
21700498
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉田 典大 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (90396458)
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Keywords | カフ圧コントロール / 血管特性 / 脈波伝達時間 / 光電容積脈波 |
Research Abstract |
本研究では,血管の特性を精度よく推定することを目的として,血管内に任意のタイミングで圧脈波波形を発生させるシステムの構築を行った.具体的には,圧縮空気と電磁弁を用いて,上腕に装着したカフ内の圧力をコントロールし,カフ位置より下流側で脈波波形を観測した.観測点としては,比較的血管径が大きく,精神的状態の変化や環境温の影響が極力少ないであろう箇所が適当であったが,安定した測定が難しかったため,本年度は手の指尖に装着した光電容積脈波センサからの波形を用いることとした. 血管特性に関する情報として,本年度は脈波の伝搬速度を解析した.脈波伝搬速度は,血管の硬さをあらわす指標として既に臨床で用いられているが,自然な心拍変動の下で計測するため,心周期や血圧の変動に影響を受けることが知られている.これに対し,本研究で構築したシステムによって適切なタイミングでカフ圧をコントロールできれば,カフ位置より上流側の影響をほぼ無視した状態で血管の脈波伝搬特性を定量化することが可能であると考えられる.実際,本システムにおいて得られたデータを解析した結果,心臓の拡張末期に脈波を発生させるようカフを制御することで,脈波伝搬速度の個人内における分散が抑えられる可能性が示された. また上記システムの構築に加えて,脈波のセンサ部への到達時刻をより高い精度で捉える方法の検討を行った.具体的には,脈波を周期信号とみなした上でその瞬時位相を算出し,位相情報から伝搬時間に相当する情報を取り出すアルゴリズムを構築した.本アルゴリズムと,脈波の立ち上がり位置から伝搬時間を求める従来法との比較を行った結果,本アルゴリズムは脈波の局所的な乱れに比較的強いことが示された.
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Research Products
(2 results)