2010 Fiscal Year Annual Research Report
圧入力に対する脈波応答特性に基づく血管特性推定システムに関する研究
Project/Area Number |
21700498
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉田 典大 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90396458)
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Keywords | カフ圧コントロール / 血管特性 / 脈波伝搬速度 / 光電容積脈波 |
Research Abstract |
本研究では,血管内に任意のタイミングで圧脈波波形を発生させることで,血圧変動の影響を受けずに血管のコンプライアンス特性を推定することを目的とした.本年度は,前年度に試作した計測機器について,圧脈波波形を発生させるためのカフ圧をコントロールする機構や制御アルゴリズムの改良を行うと共に,より多くの被験者データを解析することで提案手法のロバスト性を確かめることを目指した. カフ圧の制御については,電磁弁のむだ時間を補償するようにアルゴリズムの改良を行った.また,カフ圧をコントロールする機構については,圧縮空気によるカフの与圧機構に加え,カフ内を短時間で陰圧にできる機構を用いることによって,カブ内圧の応答を向上させることができた. 次に,圧脈波発生タイミングの違いに関する基礎データの収集を行った.具体的には,心電図のR波を検知してからある一定の時間経過後に圧脈波を生成する場合と,指尖部に装着した容積補償型連続血圧計から得られる血圧値に基づいて生成のタイミングを決める場合とで比較を行った.その結果,連続血圧値に基づいてカフ圧をコントロールする方式の方が,血管特性の推定を行う際の個体内変動が小さいことが分かった.このことは複数の被験者データからも確かめられ,提案手法が血管特性を反映する従来の指標と比べてロバスト性が高いことが確認できたが,一方で,血管内に圧脈波を生成する際に瞬間的に血管内に自然の脈波によって生じる最高血圧よりも高い圧が生じる場合があることなどから,血管のコンプライアンスが低下した高齢者や血管に障害をもつ患者に直接適用する場合には問題がある可能性が明らかとなった.
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