2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌/精巣抗原を標的とした新しい癌早期診断システムの構築
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21700510
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
福山 隆 北里大学, 北里研究所メディカルセンター病院, 上級研究員 (10462251)
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Keywords | 癌 / 早期癌診断 / 癌/精巣抗原 / 発癌初期状態 / 発癌因子 / Helicobacter pylori / CagA / MAGE-A3 |
Research Abstract |
我々は、早期癌診断方法の確立を目指している。その診断方法に用いる標的分子として、癌/精巣抗原が最適だと考えている。我々は前年度までに発癌因子Helicobacter pylori (H.pylori)を腫瘍細胞Meth-Aに接種することで癌/精巣抗原の一つであるMAGE-A3の発現が上昇したことを報告した。しかしながら、H.pyloriの感染の程度(菌数および感染時間)によって一度検出されたMAGE-A3が消失するという現象が起きた。当該年度は以上の現象を解明するための実験を行った。また、正常細胞にH.pyloriを感染させた際のMAGE-A3の発現について解析した。 (1)H.pylori感染によりMAGE-A3の発現が上昇したMeth-A細胞を限界希釈法にて単細胞化した。単細胞化した276のクローンのMAGE-A3の発現についてリアルタイムPCR法にて解析したところ、3クローンでMAGE-A3の発現が認められた。 (2)H.pylori強感染によるMAGE-A3の発現の消失は、MAGE-A3陽性細胞の細胞死が原因と仮定し、フローサイトメーター解析でMAGE-A3が消失した時の生細胞の割合について検討したところ、MAGE-A3発現時の10%から0.1%に減少していた。 (3)正常胃細胞および脾細胞に対してH.pyloriを感染させたところ、いずれにおいてもMAGE-A3の発現は検出できなかった。 以上のことから、H.pyloriによって一度発現したMAGE-A3は永続的に発現すること、およびH.pylori感染を受けた非癌細胞では、MAGE-A3は発現しないことが示唆された。癌/精巣抗原が一発癌因子の刺激によって永続的に発現し、非癌細胞では発現しないことは、癌診断の標的分子として価値のある事象だと考えられる。
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