2010 Fiscal Year Annual Research Report
粒子線増感法による新規低侵襲型粒子線がん治療法の基礎的検討
Project/Area Number |
21700514
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
島田 博文 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (10414575)
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Keywords | 医療・福祉 / 癌 / 重粒子線治療 / 光線力学療法 / 放射線化学 / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
本年度は本研究に関する調査,活性酸素種を同定するための基礎的なデータの収集を行った。まず,PDT用薬剤の粒子線励起による放射線化学的及び放射線力学的性質の基礎的なデータを取得し,本治療システムで腫瘍組織を死滅させる役割を果たす活性酸素種の発生を定性的に評価した。基礎的なデータの取得のため,サンプルは濃度分布が均一な水溶液中において重粒子線(炭素220MeV@JAEA高崎・TLARA)を照射した。 PDT用薬剤には加齢黄斑変性症に使用されているビスダイン(ベルテポルフィン)を採用し,蛍光プローブは一重項酸素用としてSinglet-Oxygen Sensor Green,活性酸素(主にOHラジカル)用としてHydroxyphenyl Fluorescein及びAminophenyl Fluorescein,ラジカル捕捉剤として,アジ化ナトリウム,ジメチルスルホキシド,マンニトール,一重項酸素の長寿命化用として重水をそれぞれ採用した。PDT用薬剤の濃度は薬剤の標準投与量15mg,循環血漿量基準値48mL/kg,仮想体重60kgとした時の最高血中濃度5.2x10^<-3>mg/mL(ビスダイン:7.2x10^<-6>M)を用いて照射実験を行った。重粒子線照射は,イオンビームの大気中照射が可能な日本原子力研究開発機構のTIARAのAVFサイクロトロンの垂直ポートに接続した深度制御種子照射装置を利用した。220MeV(18MeV/u)の炭素イオンビームを,磁場によりX-Y2軸独立走査したイオンビームを厚さ30μmのチタン箔を介して大気中に取り出し,水平に置いたサンプルを攪拌させながら上方から照射した。その後,照射サンプルの光励起による蛍光測定を行い,PDT用薬剤の有無によって活性酸素種の発生が促進されていることが確認できた。 続いて,これらの知見をもとに,肺がん上皮細胞(A-549)とビスダインを用いて,X線照射(5Gy)を行ったところ,ビスダインを添加していないコントロニル群に比べ,細胞の生存率が低下し,放射線照射と光増感剤との併用により,殺細胞効果が向上することが見出せた。
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