2010 Fiscal Year Annual Research Report
随意的連続運動課題時の運動制御と筋の特性についての研究
Project/Area Number |
21700518
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笠原 敏史 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (10312422)
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Keywords | 姿勢制御 / 運動制御 / 運動学習 / リハビリテーション |
Research Abstract |
姿勢及び運動制御の加齢による影響を調べるために健康若年者26名(平均年齢20.7歳)と健常高齢者35名(平均年齢69.3歳)を対象に前後方向への連続足圧中心(COP)移動課題を行わせた。被験者に眼前のモニター画面上に映し出された上下に正弦波状に動く目標と自身の足圧中心を一致するよう指示した。このとき、関節運動と下肢筋の活動をそれぞれ3次元動作解析器と筋電計を用いて同時に記録した。事前の前方への最大COP移動距離は若年群で70.1±3.2mm、高齢群で63.1±2.9mm、後方への最大COP移動距離は若年者で67.7±2.8mm、高齢群で54.7±2.4mmであり、高齢者で有意な低下を認めた。 画面上の目標と足圧中心の誤差は若年群で4周期以降でほぼ平衡状態となり、運動パフォーマンスの安定がみられていたが、高齢群では6~8周期以降で平衡状態に達していた。従って、立位での運動制御の構築は高齢者で若年者に比べ時間を要していた。若年群及び高齢者とも目標の速度が増大するにつれ足関戦略に加え股間戦略を使用していた。若年者群ではCOPが前方に移動するときに背側の筋群が活動し、逆に、COPが後方に移動するときに腹側の筋群が活動し、足関節を中心とした逆振り子モデルとともに筋活動の相反関係がみられていた。しかしながら、高齢者群ではCOPの移動する方向と腹側及び背側の筋活動の関係が若年者のように明確でない被験者もみられていた。このことは、円滑な筋収縮の(促通と抑制)の切り替えの困難さを示している可能性がある。この筋収縮のレシプロカルなオンオフ、円滑な位相性の活動の欠落は筋収縮の共同活動(コアクティブ)として捉えられ、運動制御への加齢の影響の特徴であり、転倒の可能性と強く関連することが示唆された。
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Research Products
(3 results)