2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700530
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荒川 高光 Kobe University, 保健学研究科, 助教 (90437442)
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Keywords | 解剖学実習 / 大胸筋 / 小胸筋 / 神経支配 |
Research Abstract |
理学療法士・作業療法士が日頃の臨床活動でよく感じている「自らが行っている運動療法に解剖学的に正確な裏付けがあるのだろうか」という疑問を解決する目的で、骨格筋に対する詳細な解剖学的調査を行った。今年度は大胸筋と小胸筋を詳細に解剖し、支配神経とともに筋束構成を調べた。その結果、両筋ともに筋束がねじれた構造をしていた。大胸筋は全例で、小胸筋は73%の例で筋束構成がねじれていた。大胸筋のねじれは教科書的にも記載はある(例:寺田・藤田1994,Johnson and Ellis, 2005)。しかし、小胸筋のねじれは現在まで全く報告されていない。それぞれの筋の筋束のねじれが消失する肢位は肩関節90度以上屈曲位かつ肩甲骨を外転し、上方回旋させた肢位であることが明らかになった。大胸筋・小胸筋の筋束構成のねじれを消失させた肢位は呼吸運動やスポーツに応用可能であることを発表した(理学療法学術大会,同全国研修会)。本研究は進化学的にも明らかにする必要性が高いため、比較解剖学的な方法も取り入れながら今後も検討していきたい。調査の過程において明らかとなった胸鎖関節円板の運動学的重要性(Anat Int Sci)や、廃用性筋萎縮に対する調査も論文にまとめることができ、解剖体の変異についても学会発表することができた。
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