2009 Fiscal Year Annual Research Report
体内埋込型コイルによる低侵襲ニューロジャンクションの研究
Project/Area Number |
21700535
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早見 武人 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 講師 (60364113)
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Keywords | 生体磁気刺激 / 渦電流 / トロイド / 末梢神経 / 活動電位 |
Research Abstract |
本研究は,体内埋込型コイルを末梢神経に取り付けることにより,神経系と電子機器との間での活動電位による通信を神経を傷つけずに行う技術についてその実現可能性と限界を,電磁場シミュレーションにより明らかにすることを目的としている.まず,目的のシミュレーションを実現するための基礎となる末梢神経の電気的なモデル化に着手した.ヒト腓腹神経について構成要素である神経細胞の線維部分の構造ならびに細胞膜の電気的モデル,神経解剖によって得られる神経の構造,生体組織の電気的特性を統合し,体内埋込型コイルの効果が検証可能な末梢神経の等価回路を構築した.得られた等価回路の方程式を計算機プログラムに変換し,得られたシミュレータによって神経に電気刺激を与えた後に生じる活動電位が生理学的にみて正しく再現されていることを確認した.次に,このシミュレータを用いて末梢神経の活動によって生じる周辺磁場の計算を行った.その結果,神経を刺激して反応を見る場合のように多数の神経線維が同期して活動電位を生じる場合では,神経活動によって生じる磁場が計測可能な強度を持つことが確認された.続いて,今回神経刺激用コイルとして想定したいトロイドについて,その形状および周辺に生じる変動電場の定式化を行った.末梢神経の周辺へ埋め込むことを想定した場合現実的な大きさである直径10mm以下の条件において,体内にトロイド型コイルを埋め込んだ場合に末梢神経が刺激されること確認された.これらの結果より,末梢神経から生じる磁場が計測可能でありかつ変動磁場によって末梢神経を刺激でき,磁場による双方向の活動電位信号伝達が計算機上においてシミュレーション可能であることが確かめられた.
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