2010 Fiscal Year Annual Research Report
体内埋込型コイルによる低侵襲ニューロジャンクションの研究
Project/Area Number |
21700535
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早見 武人 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 講師 (60364113)
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Keywords | 末梢神経 / 磁気刺激 |
Research Abstract |
神経束を取り囲むように埋め込んだトロイダルコイルにより体内に発生させた渦電流によって末梢神経を興奮させることができれば、神経を直接傷つけることなく外部から任意の電気信号を末梢神経に伝達できると考えられる。このようなトロイダルコイルによる低侵襲ニューロジャンクション機能の実現可能性について、電気システムの観点から計算機シミュレーションによる検討を行った。直径6mmのトロイダルコイルを末梢神経の周囲に埋め込んだ場合を想定し、コイルに低周波パルス電流を与えることによって神経束に印加される渦電流をFDTD法により算出した。FDTD法による低周波パルス応答解析は計算時間を要するため、GPUコンピューティングを採用した。神経東中の神経線維の興奮の成否は渦電流の空間勾配に左右される。神経線維を興奮させるためには強い勾配が局所的に持続することが必要である。解析の結果、渦電流の強度分布は、コイル円環の内側でかつコイルに近い領域において比較的高い値を示した。さらに、ヒト末梢神経に関する過去の神経解剖学ならびに電気生理学的知見をもとに構築したヒト神経線維の電気的モデルを用いて、末梢神経をコイルの誘導電場に晒したときの神経線維の興奮範囲を調べた。トロイダルコイルによって神経東内の一部領域のみに強い渦電流を流すことができ、特定の神経線維群を選択的に興奮させることができると考えられた。神経線維を個別に刺激できるほどの解像度は無いが、数十から数百本レベルの神経線維群をまとめて興奮させる目的においては比較的低い侵襲性で外部から神経への電気信号伝達を可能にすると考えられる。
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