2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害片麻痺者に対するミラーボックスを用いた神経リハビリテーションの効果研究
Project/Area Number |
21700537
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田平 隆行 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50337432)
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Keywords | ミラーニューロンシステム / 運動イメージ想起 / 体性感覚誘発電位 |
Research Abstract |
本年度は,ミラーボックス課題の効果について,健常者を対象として運動イメージ想起との関係性から体性感覚入力動態を指標として検討した.体性感覚誘発電位(SEP)の記録は,10-20法に基づき左CPcから導出し,基準電極を同側耳朶とした.刺激部位は,右手関節部の正中神経とし,刺激強度は短母指外転筋から蝉出したM波閾植の1.5倍とした.実験条件は1)安静条件(左・右手観察),左手の全指屈伸動作を実行しながら2)運動イメージの有無(左・右手観察),3)Mirrorの有無の合計8条件とした.課題条件は,1)安静時条件,2)左手の動作を観察する(No-mirror条件),3)左手の動作の鏡像を観察する(Mirror条件)とした.その結果,P80,N140共にMirrorなしの条件下で運動イメージの有無による有意差は認められなかったが,Mirrorありの条件下では運動イメージを想起すると有意に振幅が増大した.しかし,N20ではMirrorの有無に関わらず,運動イメージ想起による影響は認められなかった. SEP短潜時成分(N20)においては運動イメージ想起に伴いgating効果が作用し,中枢遠心性に振幅を抑制するとされている,また,長潜時成分(P80, N140)においては検査手の随意運動を行う際にのみ振幅の増大を認めるとされている(Nakata, 2003).今回の結果においてMirrorなしの条件下では,全ての成分で運動イメージに伴うgaiting効果と思われる変化は観察されなかった.しかし,Mirrorありの条件下では運動イメージ想起により長潜時成分でのみ振幅値の増大が認められた.このことから,長潜時においてはMirrorを使用し運動イメージを付加することにより実際の随意運動時に認められる運動感覚と類似した疑似的体験が得られ,体性感覚野を賦活していると推察された.
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