2010 Fiscal Year Annual Research Report
書字描画中の上肢・手指機能の発達的特徴と不器用さの要因解明
Project/Area Number |
21700543
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
中島 そのみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (70325877)
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Keywords | 上肢機能 / 視覚運動機能 / 不器用 / 作業療法 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者らが開発した運筆中の軌跡および筆圧を記録可能な評価機器を用い、健常児・者および不器用さを呈する発達障害児の運筆中の運筆速度と筆圧を指標とした上肢機能の特徴を明らかにすること、さらにそれらの結果と視覚機能との関連を検討することである。平成22年度は健常児・者および不器用の症状を呈する軽度発達障害児のデータ収集を行い、データ解析をすすめることを目指した。 今年度の成果としては、健常成人20名、健常児7歳~12歳健常児115名、不器用児20名からデータを収集した。現時点では、健常成人20名、7歳児33名、不器用児10名のデータの線引き課題の解析を行った。その結果、成人群ではこれまでと同様に、一筆中における筆記具の速度変化には、描き始めより徐々に速度が上がり、中間から描き終わり向け減速する規則性が見られた。筆圧は、描き始めに急激に上昇した後、引き続き筆圧の上昇が観察され、描き終わり直前で急激に下降するといった規則性が見られた。一方、7歳児群では、健常成人に見られた運筆速度、筆圧変化の規則性が見られたものもいたがその割合は少なかった。また、不器用児群は7歳児群よりもはみ出し距離が有意に長く、所要時間は有意に短く、平均速度は有意に速かった(p<0.05)。また、速度変化では、7歳児群よりも不器用児群の方が規則性を示す割合がやや多かった。 不器用児群については、線引き課題のはみ出し距離の有無と速度特徴から3グループに分類でき、グループ間のフロスティッグ視知覚発達検査(以下、DTVP)、臨床観察の結果の違いを検討した。その結果、DTVPについてはグループによる違いは見られなかったが、臨床観察については、グループによる違いが見られ、運筆中の上肢機能の特徴によって、その背景要因が違うと示唆される結果が得られた。
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Research Products
(7 results)