2010 Fiscal Year Annual Research Report
イメージングを用いた神経筋コンパートメントの機能解明と可塑性の多角的評価法の開発
Project/Area Number |
21700544
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
谷口 圭吾 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (90381277)
|
Keywords | リハビリテーション / 評価学 / イメージング |
Research Abstract |
本研究では、ヒト生体骨格筋内の神経筋コンパートメントにおける機能解明と可塑性の多角的評価方法の構築に向けて、新規の非侵襲的リアルタイム超音波診断画像技術を用い、筋組織の歪み(ストレイン)、弾性(スティッフネス)の相対的評価法ならびに絶対的評価方法の確立を試みた。筋組織性状の相対的な評価法の検討として、運動療法の対象となる頻度が高い下腿筋を対象に、超音波補正音速計測の検者間・検者内信頼性を検証した。その結果、検者内信頼性は、腓腹筋及びヒラメ筋において級内相関係数0.8以上と比較的高いことが確認できた。一方、検者間信頼性は0.6~0.8の範囲と十分な信頼性を満たしているとはいい難く、計測方法の更なる検討を要した。また、検者1名では3回反復測定した平均値をデータとして用いれば高い信頼性を保証できることが示された。組織スティッフネスの絶対的な測定は、100μsの収束超音波パルスの音響放射圧を用いて筋内の関心領域に微少な変位を起こさせ、その際に発生するせん断波を2万Hzの超高速なフレームレートで検出する先駆的技術を用いた。計測は、筋内で生じるせん断波の伝播速度および弾性係数のヤング率を求めてを定量し、カラーマップ画像でリアルタイムに可視化表示した。その結果、下腿筋における安静時のスティッフネスは15-40キロパスカルであるとともに、そのスティッフネスは立位姿勢、関節角度及び筋収縮の影響を鋭敏に検出可能であることが明らかとなった。本研究で実施した新規的な筋組織性状の定性的・相対的評価に、従来の形状測定を加えた多面的な可塑性評価手法を応用することで、リハビリテーション領域で行われる運動機能障害に関わる原因の特定作業、病態解明と治療プログラムの考案にブレイクスルーをもたらすことが期待できる。
|