2009 Fiscal Year Annual Research Report
栄養評価による廃用症候群のリスク管理と機能訓練プログラム
Project/Area Number |
21700546
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
若林 秀隆 Yokohama City University, 附属市民総合医療センター, 助教 (80508797)
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Keywords | リハビリテーション / 栄養学 |
Research Abstract |
低栄養状態が廃用症候群のリハの帰結に与える影響を後向きコホート研究で検討した。対象は2006年6月から2007年3月と2008年8月から10月に当院リハ科に併診があり、リハ科医師が廃用症候群と診断した入院患者223人。低栄養状態は、併診時にBMI18.5未満、ヘモグロビン(Hb) 10g/dl未満、アルブミン(Alb) 3g/dl未満、総リンパ球数(TLC) 1200未満のいずれかに該当と定義した。リハの帰結は、併診時と退院時のADL自立度の変化で、改善もしくは不変・悪化に分類した。年齢、性別、入院から併診までの期間、併診時のBMI、Hb、Alb、TLC、小野寺の栄養学的予後指数(PNI : Alb×10+TLC×0.005)、Barthel Ihdexを評価し、これらとADLの変化との関連を検討した。 平均年齢67.5歳。男性136人、女性87人。入院から併診までの中央値17日(25%値11、75%値27)。202人(91%)に低栄養状態を認めた。BMI18.5未満は56人(25%)、Hb10g/dl未満は115人(52%)、Alb3g/dl未満は163人(73%)、TLC1200未満は198人中103人(52%)に認めた。PNIは平均32.9(±7.1)で、198人中122人(62%)が35未満であった。ADLの変化は改善135人(61%)、不変・悪化88人(39%)であった。年齢(p=0.18)、性別(p=0.11)、入院から併診までの期間(p=0.71)による差は認めなかった。低栄養状態の患者は、ADLの改善が有意に悪かった(低栄養:改善118人、不変・悪化84人、正常栄養:改善17人、不変・悪化4人、リスク比2.18、p=0.04)。Hb10g/dl未満(リスク比1.82、p=0.001)、TLC1200未満(リスク比1.46、p=0.03)、PNI35未満(リスク比1.64、p=0.01)の場合、ADLの改善が有意に悪かった。BMI18.5未満(p=0.78)、Alb3/dl未満(p=0.08)は有意差を認めなかった。 以上より廃用症候群の患者では低栄養状態を認めることが多く、中等度から重度の低栄養状態は廃用症候群のリハの帰結に影響を与える可能性がありリスク管理を要することが明らかになった。平成22年度は前向きコホート研究を行う。低栄養状態をMNA-SFで評価し原因を飢餓、侵襲、前悪液質に分類して、それぞれが廃用症候群のリハの帰結に与える影響を検討する。
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