2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロモグラニンAを用いた呼吸運動同調現象中の自律神経解析
Project/Area Number |
21700547
|
Research Institution | Nihon institute of Medical Science |
Principal Investigator |
解良 武士 日本医療科学大学, 保健医療学部, 准教授 (50449435)
|
Keywords | 運動呼吸同調現象 / クロモグラニンA / 呼吸筋酸素摂取量 |
Research Abstract |
運動呼吸同調現象(Locomotor Respiratory Coupling ; LRC)は四肢の運動に呼吸運動が同調する現象である.走行,エルゴメータ,漕艇,車いす,クロスカントリースキーなど様々な様式での運動で観測される.本研究ではLRC誘導時の自転車エルゴメータのペダル回転数の影響を換気指標と唾液クロモグラニンAから検討した.健康な成人男性25名を対象者とした.次に対象者を2群に分け,一方のペダル回転数を50rpm(高回転群),もう一方を40rpm(低回転群)に設定した.それぞれ自由呼吸下で10分間無酸素性作業閾値(AT)レベルの定常運動を行い,次いで運動と呼吸を同調させて同様に運動を行った,その結果,高回転群はLRC時にも呼吸困難感は減少しなかったが,低回転群は呼吸数と呼吸困難感が有意に減少した.唾液クロモグラニンA量は運動と呼吸の同調とは無関係であった.LRCによる効果には個人差があると考えられており,その原因に自律神経系やストレスの影響を考えていたが,本研究の結果からはそれらの影響は明らかにはならなかった.一方,エルゴメータのペダル回転数を低く設定することでLRC時に呼吸数が減少すると,酸素摂取量や換気効率が改善しなくとも呼吸困難感が減少しやすいことが明らかになった.これまでの我々の呼吸中枢出力の指標であるPO.1を用いたLRCの検討では,呼吸数が減少するとPO.1が減少することから,LRCによる呼吸困難感の減少は自律神経系やストレスを介したものではなく,呼吸数減少によるものと考えられた.
|