2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中急性期におけるATMTを用いた高濃度酸素吸入下遂行機能賦活
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21700549
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 信幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60328325)
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Keywords | 脳卒中 / 酸素 / 高次脳機能障害 / リハビリテーション / 急性期 / 脳血流量 / コンピューター |
Research Abstract |
研究は2段階に分けて行った。まず若年健常者において高濃度酸素吸入により認知機能が増強されることが報告されているが脳卒中対象の研究報告はなかったため、亜急性期の脳卒中患者を対象に高濃度酸素吸入下の認知機能について調査した。対象は発症15日以内の初発の片側大脳脳梗塞、脳出血患者21名。室内気吸入時と30%濃度酸素吸入時の三宅式有関係対語検査を用いた言語性記憶とATMT脳年齢計を用いた非言語性記憶の成績を比較し、脳血流量と成績改善率の関係を調査した。その結果、脳卒中の病巣が左大脳の場合には高濃度酸素吸入時の言語性記憶の増強効果が統計的に有意であり、その増強効果が高い群では脳血流量が低い傾向を認めた。左大脳病巣の脳卒中患者においては高濃度酸素吸入時の認知機能が増強する可能性が示唆された。 次に、脳トレーニングゲームの効果については健常若年者では否定されているものの、急性期脳卒中対象の報告はないため、急性期脳卒中患者に対してコンピューターを用いた脳トレーニングゲームを連日施行し、その効果の有無や、効果が訓練したスキルだけに留まらず般化するかどうかについて調べた。対象は発症10日以内の脳梗塞、脳出血患者44名。対象をランダムにアップル社iPadを用いたATMT訓練群(iPad群)と任天堂Wiiを用いた全般的な認知訓練群(Wii群)、何もしない対照群(C群)の3群にふりわけ、2週間の訓練前後のTMT-AとMMSEの成績の変化について調べた。結果は、3群ともTMT-A・MMSEの成績の有意な改善を認めたものの、TMT-Aの成績改善率はC群に比しiPad群で有意に高く、MMSEの成績改善率はiPad群・Wii群ともにC群に比し有意に高かった。急性期脳卒中患者に対する脳トレーニングゲームは有効であり、ATMTの訓練のみ施行したiPad群でも全般性認知のスクリーニング検査であるMMSE得点の成績改善率は有意に高いことから、効果は訓練したスキルに留まらず般化する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)