2009 Fiscal Year Annual Research Report
クエン酸溶液飲みテストの不顕性誤嚥に対する有用性について
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21700550
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 健太郎 Jikei University School of Medicine, 医学部, 助教 (30408398)
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Keywords | クエン酸 / 嚥下障害 / 不顕性誤嚥 / スクリーニング |
Research Abstract |
嚥下障害の診断には嚥下造影や嚥下内視鏡検査が有用であり、摂食・嚥下リハビリテーションの専門施設においては現在ルーティンに行われている。しかし、必要な設備を持たない施設や検査施設に患者を紹介できない環境下では、これらの検査を用いずに摂食・嚥下評価を行わなければならない。そのため、ベッドサイドで行うことができる様々なスクリーニングテストが報告されている。代表的なスクリーニング検査としては、水飲みテスト、食物テストなどが挙げられるが、咳の有無で誤嚥を診断するテストが多い。これらの検査について唾液や食物が声門下に侵入しても咳などの誤嚥を示唆する所見や症状がない不顕性誤嚥の検出力が問題とされている。 我々は、クエン酸溶液を飲むことによる嚥下障害のスクリーニングテスト「citric acid solution swallowing test (以下CST)」を考案し、至適クエン酸濃度について検討したので報告する。 まず、クエン酸濃度とpHを測定した。クエン酸は有水クエン酸結晶を島津製作所製の電子ばかりUW820Sを用いて測量して、0.5%w/v、1.0%w/v、1.5%w/v、2.0%w/v、2.5%w/v、3.0%w/vを用意した。pHの測定にはHORIBA社製D-51Sを用いた。 クエン酸濃度という化学的刺激を選定する条件として、まずは安全性の確保が条件となる。安全性を考えると、pHが胃酸のpH1.5-2.0より高い必要があり、pH2.0に相当する2.0%w/vより低濃度であることが必要と考えた。一方で、咽頭感覚が低下していても誤嚥でむせが生じるだけのクエン酸濃度は、少なくとも咽頭感覚低下を検出する咳テストで報告されている1%w/vよりも高濃度であることが必要であると考えた。2.0%w/vが残留してもむせないため、CSTの至適濃度と選定した。
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