2010 Fiscal Year Annual Research Report
クエン酸溶液飲みテストの不顕性誤嚥に対する有用性について
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21700550
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 健太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30408398)
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Keywords | クエン酸 / 嚥下障害 / 不顕性誤嚥 / スクリーニング |
Research Abstract |
我々は、クエン酸溶液を用いた嚥下障害をスクリーニングするテストとして「クエン酸溶液飲みテスト」(Critic-Acid-Solution Swallowing Test : CST)を考案し、不顕性誤嚥のスクリーニングに対する有用性について検討した。当院当科に診察の依頼がされた症例の中で、(1)両側大脳病変および脳幹病変(2)誤嚥性肺炎の既往および疫分泌物の増加(3)摂食中の咳(4)体重減少、摂取量減少、摂食時間の延長(5)嚥下困難の訴え(6)嚥下障害食や非経口、という嚥下障害を疑う所見のいずれかを認め、VFもしくはVEを施行した59症例を対象とした。男性38例、女性21例、平均年齢80±10.9歳(38才~97才)、疾患は肺炎42例、脳卒中10例、その他7例であった。VE,VFの結果を基準とし、改訂版水飲みテストMWSTとCSTにおける誤嚥のスクリーニングの感度、特異度、陽性検査後確率、陰性検査後確率、陽性尤度比、陰性尤度比を算出して比較した。MWSTの誤嚥診断は、感度61.9%、特異度71.1%、陽性検査後確率54.2%、陰性検査後確率77.1%、陽性尤度比2.14、陰性尤度比0.54であった。CSTの誤嚥診断は、感度95%、特異度66.7%、陽性検査後確率59,4%、陰性検査後確率96.3%、陽性尤度比2.85、陰性尤度比0.08であった。CSTはMWSTよりもSAの検出力が高く、クエン酸の酸刺激によりむせを誘発できたと考えられた。クエン酸溶液飲みテストは新たな嚥下障害のスクリーニングテストとして有用である。
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