2010 Fiscal Year Annual Research Report
意味痴呆患者の掘り下げ検査の改善に向けた「棒読み現象」の観察と分析手法の開発
Project/Area Number |
21700552
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
大庭 真人 東京工科大学, 片柳研究所, 研究員 (20386775)
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Keywords | 棒読み / 掘り下げ検査 / 意味痴呆 |
Research Abstract |
平成22年度は、当初の学生に対する実地研修前後の読み上げ実験を実施予定であったが、国際医療福祉大学との間で日程調整やカリキュラム上の問題から、大規模に調査を行うことができず、上記の実地研修前後における変化を読み上げ実験により検討する実験に代えて、実験協力者の事前知識の調査を加えた読み上げ実験を実施した。具体的には、略語に関する説明文の読み上げから実験協力者が、略語について知識を有しているか調査するため、読み上げ前に略語を提示しその略語が何を略した語であり、何を意味する語かについて説明させた。その際、略語提示から説明(もしくは未知であり説明できないことの表明)を開始するまでの潜時や説明の発話時間、発話音声の収録を行った。また、その後実施した読み上げ文と重複する語彙の数などの分析を行った(本年度の謝金は実験協力者への支払いと分析協力に充てた)。従前の読み上げ実験の使用頻度や理解度といった指標と照らし合わせることで、協力者における語に対する新規性や既知感などとの関係を分析した。使用頻度と潜時の間には負の相関が傾向として認められたが、重複語数や発話時間、発話速度などに統計的に有意な関連性は認められず、その他の項目については現在分析中である。 本年度は、上記追加実験のデータの精緻化と分析に注力したため、成果報告を行うことができなかったが、今後掘り下げ検査への応用開発の可能性を検討するため、従前の掘り下げ検査の様式との比較検討も行っている。
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