2010 Fiscal Year Annual Research Report
転倒予防のための自転車運動を用いた新しいトレーニング方法の開発
Project/Area Number |
21700555
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Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
越智 亮 星城大学, リハビリテーション学部, 助教 (60410891)
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Keywords | 高齢者 / 転倒予防 / 自転車運動 / 最大速度ペダリング / ステップ動作 |
Research Abstract |
つまずき等で前方転倒の可能性が生じたとき,転倒回避のために下肢を前に踏み出す動作(以下,ステップ)が必要となる.高齢者では敏捷性や全身反応性などの運動機能低下により,つまずき後にステップが出ても動作速度が遅いために,その後に不安定化が生じることで転倒に発展し易い.本研究では高齢者の敏捷性とステップ動作機能の関連性に着目し,固定式自転車を用いた最大速度ペダリング運動が高齢者の敏捷性向上とステップ機能改善に有効かどうかを検証した. 21年度は,週2回,1日5分間(5秒ペダリング,25秒休止を10回),5週間の最大速度ペダリング運動が高齢者の下肢敏捷性の向上に効果的に作用することを実証した.22年度は65歳以上の健常高齢者8名に,同様の最大速度ペダリングトレーニングを実施し,トレーニング前後にステップ動作機能を評価した.ステップ動作は,背部を牽引した状態で身体を前傾させて,牽引が離れてから下肢を一歩前に踏み出す動作とした. トレーニングの結果,踏み出し脚のステップ速度が平均2.0m/secから平均2.4m/secに向上した.踏み出し脚の表面筋電計から得られた大腿筋活動のパターン分析から,トレーニング前と比較してトレーニング後に以下の2点の結果が認められた;1)背部牽引が解除されてから,踏み出し脚の膝屈筋の活動が開始するまでの時間(筋活動潜時)が平均12msec短縮し,牽引解除から素早く下肢を踏み出すことが可能になった,2)踏み出し脚の足部が接地した際に被験者の体重を支える膝伸筋の筋活動量(%iEMG)が13.4%減少し,ステップ動作後に体重を支えるための筋力が少なくて済むようになった.以上のように最大速度ペダリングトレーニングは,高齢者の脚踏み出し速度を改善させ,瞬時の筋応答性を改善させる可能性がある.転倒予防トレーニングに動作速度を改善させる内容を含めることは重要であると考える.
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Research Products
(2 results)