2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21700562
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
井上 茂樹 目白大学, 保健医療学部, 助教 (40531447)
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Keywords | 培養細胞 / 電磁波障害 / 神経突起形成率 / 三次元様増殖 / 細胞生存率 |
Research Abstract |
本研究の目的は、基礎研究の成果が求められる電磁波障害に対する影響について神経細胞や線維芽細胞を用いて、われわれが開発した非温熱下による電磁波障害検出システムを使用し、電磁波障害の最小の量(閾値)や細胞死を引き起こす量(致死量)、また閾値と致死量の範囲で増殖活性や神経突起形成が高まる量(最適値)を検証することにある。つまり、その効果(形成率)および影響(細胞死)を見出し、そのメカニズムについて検証を行った。 細胞は、ヒト線維芽細胞とラット副腎髄質褐色細胞腫由来PC12m3細胞を使用した。OG技研製高周波治療器を用い、照射距離はフラスコ底面から垂直方向に10cmとした。温熱刺激を除く電磁波刺激のみの影響を調べるため、温浴槽で温水を循環器で流水することで常時培地内を37℃に保てるようにし、5%CO_2、37℃のインキュベーターで培養した。対照群は、温浴槽で常時培地内を37℃に保ち、その後、5%CO_2、37℃のインキュベーターで培養した。 三次元様増殖形成率は、対照群に対して200W 10分で1.1倍、200W 30分が2.4倍であった。一方、最も高い神経突起形成率が得られたのは、200Wで30分間の電磁波刺激であり、対照群よりも9.8倍高い神経突起形成率であった。以上のことから、ヒト線維芽細胞とハイドロキシアパタイトを混合培養し電磁波刺激を与えると三次元様増殖が促進され、PC12m3細胞に電磁波刺激を与えると神経突起形成が誘導された。また、200Wで30分間の電磁波刺激での細胞生存率は89.8%であった。さらに、免疫プロット法では同様の刺激量でp38 MAPKの活性化とCREBの発現がみられた。この電磁波刺激の強度と照射時間により、細胞内シグナル伝達系が活性化し、僅かの細胞ダメージを与え、その応答により三次元様増殖の促進や神経突起の形成を誘導したものと推察された。 電磁波を発生する医療用の物理療法機器と同程度の出力、周波数での影響を検討した研究は極めて少なく、電磁波刺激の最適有効量を決定するための基礎となり、電磁波刺激の影響を分子生物学的に示すための重要な知見になると思われる。電磁波刺激の新しい知見を細胞内メカニズムより分子生物学的に解明することで、物理療法の適応範囲の拡大に繋がるものと考えられた。
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