2009 Fiscal Year Annual Research Report
MRIによる脳内機能的結合性評価のリハビリテーション科学への応用
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21700570
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
内田 信也 International University of Health and Welfare, 保健医療学部, 講師 (90527011)
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Keywords | 機能的結合性 / 神経線維連絡 / 脳梁無形成 / 可塑性 / MRI / 安静状態 |
Research Abstract |
MRIによる脳内機能的結合性評価のリハビリテーション科学への応用を目指し、安静状態下での機能的結合性の特性に関する基礎的検討として、機能的結合性と神経線維連絡の関係に着目した研究を行った。先行研究においては、脳梁離断術前後において半球間機能的結合性が大きく変化(離断術後に機能的結合性が減少)する事から、機能的結合性の基盤メカニズムとして脳部位間の神経線維連絡が重視されている。そこで、機能的結合性と神経線維連絡との関係をより明らかにするために、先天性脳梁無形成者を被験者とし、MRIにより安静状態下の機能的結合性を測定した。その結果、被験者は左右大脳半球を連絡する交連線維が先天的に欠如しているにも関わらず、半球間機能的結合性が認められた。また、先天性脳梁無形成者における半球間機能的結合性のパターンは、性別と年齢を統制した、脳梁を有する対照群で観察されたパターンと同一であることが示された。この先天性脳梁無形成者は、知的低下を認めず、日常生活活動も問題なく営んでいた。本症例は脳梁無欠損という脳の解剖学的構造が特異な状態であるにも関わらず、生まれてからの脳の成熟過程において、代償的な機構が構築され、脳の生理学的動態として半球問機能的結合性が認められたと同時に、機能的にも健常例と同等である事が示された。この結果は、機能的結合性の特性に関する議論のみならず、脳の可塑性について新たな知見を与えるものであり、平成22年度に開催される16th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mapping(6月、スペイン)、第33回日本神経科学大会(9月、神戸)にて研究報告を行うための準備を行った。
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