2010 Fiscal Year Annual Research Report
受動要素で構成される安全な下肢ウェアラブルリハビリシステムの開発
Project/Area Number |
21700579
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 学之 名古屋工業大学, 工学研究科, 特任研究員 (80332344)
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Keywords | リハビリ支援 / 福祉ロボット / 機構学 / 受動性 / 歩行 |
Research Abstract |
本研究では,高齢者や脊髄損傷患者等の脚に障害を抱えている人のQOLを高めることを目標とし,誰でも簡単に下肢に装着して使用することのできるモータレスな下肢リハビリ支援システムの開発を行った.従来の下肢リハビリテーション装置では動力源としてモータを使用したものが多く,機械の誤動作により人に危害を与える危険性がある,装置自体が重く,自分一人で装着することが困難,長期間の使用が不可能,水洗いができない,高価である等の問題があり,下肢リハビリ支援装置としては十分なものではなかった.そこでこれらの問題を解消するため,本研究ではばねなどの受動的な機械素子のみから構成され,場所を問わずに長時間装着したまま使用することのでき,しかもそのまま水洗いができる下肢リハビリ支援装置を開発することを目指した.本研究ではまず,重力補償装置の出力を倍増する装置の開発を行い,人の体重を支えることのできる重力補償装置を構築するとともに,ばねの復元力を用いてメカニカルにスティッフネス制御を行うことで立位姿勢を安定に維持することを補助する立位姿勢補助装置を構成した.そしてこれらを組み合わせることで下肢に重篤な運動能力疾患を有する患者でも,長時間にわたる下肢のリハビリトレーニングを楽に行うことができる下肢リハビリ装置を構築した.ただし本装置は装置自体が大きく,重たいという欠点があった.そこで次に,弾性体にゴムを用いたシンプルな構造の自重補償機構を新たに考案し,これを導入することで総重量が4kgの極めて軽量かつコンパクトな下肢装着型リハビリ支援装置を開発した.本装置は小型でありながら,最大で体重70kgを任意の姿勢で支えることができる.本装置の有効性を調べるために被検者5名による官能試験を行い,機械を装着しているという違和感を受けずに,楽に立ち上がり・屈伸・歩行を行うことができるようになるとの高評価をこれまでに得ている.
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